今週も金相場は過去最高値を更新し、金利低下局面が予想される中、トレーダーは依然として貴金属を好んでいる。先週金曜日に発表された米雇用統計の下方修正(2025年3月までの12ヵ月間で911kの下方修正)と相まって、FRBは今月利下げを実施し、年末までにさらに利下げを実施する可能性が高まっている。

イスラエルによるドーハのハマス攻撃のニュースが伝えられると、安全資産としての買いが入り、スポット金は3675ドルのレジスタンスぎりぎりの3674ドル近辺の水準をつけた。その後、利益確定売りと米ドルの上昇により、金は3624ドルと3603ドルのサポートを前に3650ドルを割り込んだ。FRBによる一連の利下げを示唆する経済データが続く中、金は年内にさらに上昇する可能性がある。今週発表される米国のインフレ・データは、週明けに金が3700ドルに近づくか3500ドルに近づくかを決定する重要な材料となるだろう。
前述したように、FRBが利下げに踏み切る場合、米雇用統計は間違いなくその条件を満たしている。不愉快なサプライズがなければ、だが。CPIが前年比ベースで3%を下回らなければ、今月の利下げ観測を維持するには十分だろう。しかし、インフレが加速している最中にFRBがどれほど積極的な利下げに踏み切る可能性があるかという疑問が生じるため、3%を超えるような上昇局面があれば、利下げに一石を投じる可能性がある。CPIは木曜日に発表される予定だが、それに先立ち水曜日に発表されるPPIで卸売物価の動向を確認することになる。

FXでは、米雇用統計の不振とFRBの利下げ観測が米ドルの重荷となっている。ドルインデックス(DXY)は98レベル以下の圧力下にあるが、国債利回りの緩やかな反発により、ドルは週間安値から持ち直した。DXYは現在、97.40の小サポートを上回り、98のレジスタンスを下回っている。結局のところ、今週のインフレ・データによって、米ドルが次にどこへ動くかが決まる。

OPEC+が週末に決定した10月の再増産は、増産幅(日量13万7,000バレル)が前月より縮小したとはいえ、原油価格の足かせとなった。この要因は、地政学的リスク(ロシアとウクライナの戦争継続、イスラエルによるドーハ標的への攻撃)と相まって、原油の下落を抑えるのに役立っている。OPEC+が原油1バレルあたりの価格よりも市場シェアを優先することを決定したため、原油市場の下値バイアスは依然として残っているが、地政学的リスクが継続しているため、価格急騰の可能性は残っている。今週の米国産原油の注目テクニカルレベルは、61.95ドルがサポート、63.23ドルがレジスタンスとなる。
木曜日にはECB理事会が予定されているが、金利の変更はないと予想され、金曜日には英国のGDPが発表される。米国の主要株価指数がいずれも過去最高値(火曜日)で引けたことから、現在の市場の楽観的な見方の多くは、金融緩和が間もなく到来するとの見通しが前提となっている。そのため、トレーダーは軟調な消費者物価指数(CPI)の発表を期待している。もっとも、インフレがこの点に協力的かどうかは別問題だが。