金融市場は、ロンドンでの米中貿易協議がどのような結果をもたらすか、期待に胸を膨らませている。米国代表団は、中国が(ハイテクや自動車などの製造業にとって重要な)重要鉱産物へのアクセスを自由にすることを望んでいるという事実を隠していない。米国の製造部門に重要鉱物を再供給するよう中国に強制する方法として、半導体に対する米国の輸出規制が緩和される可能性がある。

このようなシナリオでは、双方がそれぞれの経済成長のための重要な要素を取り戻すことになるため、双方が勝利を収めたと主張することができる。しかし、それは言うは易く行うは難しである。というのも、この貿易協議は、21世紀の第2四半期に入り、両国が経済的に優位に立とうと努力しているという事実によって複雑になっているからだ。そのため、傾向としては、それぞれが現在保持している戦略的経済・国家安全保障上の優位性、中国の場合は重要鉱物の供給、アメリカに関しては先端半導体を維持することになるだろう。
米国と中国は本日、ジュネーブ・コンセンサスを達成するための枠組みに達したと発表した。つまり、中国が米国にレアアース材料と磁石へのアクセスを提供し、米国が半導体輸出規制を緩和することで恩返しをするという道筋がありそうだ(トランプ大統領と習主席の両者の承認が条件)。
まだ実際の合意には至っていないものの、進展と言えるようなものは得られており、会合後の双方の建設的なレトリックと相まって、当面は関税懸念を抑えるのに十分かもしれない。しかし、もし今、膠着状態に陥ったり、トランプ大統領がソーシャルメディアを使って中国の貿易慣行を再び非難し始めたりするようなことがあれば、リスク資産は再び動揺し始めるかもしれない。
トレーダーが米中当局者の会合後のメッセージを評価する中、ロンドン発の最新ヘッドラインを受けて金は上昇に転じた。水曜日のアジア取引時間序盤、金は3330ドルで取引され、3304ドルと3280ドルのサポートを前に、3350ドルと3375ドルがレジスタンスとなった。現段階で米中が具体的な合意をしていないことが、金が最初に上昇した主な理由であったが、重要な鉱物や先端半導体に関する合意が軌道に乗った場合、金の上昇の勢いは抑制される可能性がある。

水曜日の朝、原油はロンドンでの協議結果を受けて値を下げた。米国産原油は63.70ドルで取引され、63.35ドルと62.80ドルがサポートとなった。レジスタンスは64.90ドル。市場がロンドンでの米中協議による最初の失望をある程度乗り越えれば、原油は連日の損失を回復する余地があるが、OPEC+からの供給増が依然として上値の障壁となっている。

今後を展望すると、今週は米国のインフレ率が関税の不透明感から物価上昇につながった兆候を示すかどうかが注視される。水曜日には米消費者物価指数(CPI)が発表され、月次コア・インフレ率とヘッドラインCPI率が上昇すると予想される。続いて木曜日にはPPIが発表され、工場出荷時の物価動向を見極めることになる。